『14歳からの哲学入門』が投げかけた問いに『人工知能と経済の未来』が答えを提示していて震えたのでレビューする
はじめに
タイトルの2冊の本を読んでいたら、打ち合わせしたの?ってくらい内容が対応していてびっくりしたのでレビューします。
働かなくてもよい社会を作ろう
『14歳からの哲学入門』によると、哲学とは「今までの価値観を14歳レベルの幼稚な発想でぶっ壊してきた歴史」だそうです。あらゆるツッコミに対応するために難しい言葉がいっぱいあるので、エライ学者が難しいことをこねくり回している学問みたいになってしまっているけど、本当はそうじゃないよ、というのが読むと分かります。
21世紀に生きる読者である我々に課された課題は、今までの哲学者にならい、旧来の価値観をぶっ壊して新しい価値観を作ること。その一つとして例示されているのが、「働くことが当たり前」という価値観を壊し、「働かなくてもよい社会」を作ることです。
そんで『人工知能と経済の未来』には、そんな社会の作り方があっさりと書いてあります。これからは人工知能がどんどん発達し、労働力がほとんど必要なくなります。そうするとありえないくらい失業者が生まれてしまうので、ベーシックインカムを導入しましょうという主張です。
何のために生まれて、何をして生きるのか?
「仕事をするために生きる」「生きるために仕事をする」どちらも違和感がありました。
自分の大好きな仕事をしているならまだしも、大半の人は好きでもない仕事を、「仕事とはこういうものだ」「稼ぐのは大変なんだ」「社会とは厳しいところだ」と言いながらやっています。
そんな仕事をするために、家に帰ってご飯を食べて寝ている。
一方ではご飯を食べて生きながらえるために仕事をしている。
ただ単に明日も生き延びるためそれだけのために無理やり仕事をするなら死んでしまえばいいじゃないか、なんて思うのです。
「有用感」という病
また現代人は「何のため」に取りつかれています。
それが今まで必要な(のだと思い込んでいた)価値観だったからです。
でも全ての物事に「何のため」を求めた結果、生産に役立たないものはすべて無価値となり、今この瞬間は見逃され、常に“未来への準備”で私たちの生活は埋まってしまいました。
勉強なんて最たるもの。
私はただただ「好きだから」勉強をしてきました。
でも世の中には「何のために勉強するの?」「将来のためだよ」であふれています。
そんなこと言われても納得できない子どももあふれています。
でもそれに代わる理由を誰も示すことができませんでした。
人工知能の時代
これからやってくる人工知能の時代では、ほとんどの労働が必要なくなります。
働いて社会に貢献することを唯一の価値観としている私たちですから、人工知能に仕事を奪われるということが最初はものすごく恐怖に感じます。ここで私たちは、否応なく価値観の転換を迫られます。
今までは「働くことが当たり前」で、そのために全ての物事を、自分の生さえも「役に立つか立たないか」で判断してきました。しかし人工知能やロボットが高度に発達すれば、私たちは一切“役に立たなく”なります。つまり私たちの価値は「役に立つか立たないか」というところとは無関係にあるのです。
じゃあ私たちがもつ本来の(理想の)生の意味とは何か。それは、「生きるために生きる」ということ。生活のためにあくせく働くのではなく、その瞬間を楽しみ、よりよく生きることを目指す。そんな時代が来そうです。
「暇」の哲学
明日から働かなくていいよ、となった時に、どう過ごすかを決められる人はどのくらいいるでしょうか。『14歳の』ではカギを握るのはニートだとしています。既に働いていないからです。
私は、英語を勉強して世界中の人と生のコミュニケーションを楽しみ、タロットを英語で直接学び、心理学やコーチングやNLPを学んでタロットに応用して占い師になり、韓国語も勉強し、ついでに慶尚道の方言も覚えて現地の人とおしゃべりを楽しみ、書道を極め、ピアノでショパンを弾き、アクセサリーを作って売り、ケーキを焼き、スキーも上達したいです。
今の時点では時間が足りなくて到底できないことが、きっとできるようになります。
そこに意味なんてありません。私が楽しいからやります。
大事な追記
以上はベーシックインカムが導入された場合における理想のシナリオです。もし導入されなかったら生きていけなくなります。
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